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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
   公務の職場は、「行革」と民営化推進により、臨時、非常勤等非正規職員が正規職員の不足をを補い、さらに派遣や委託が拡大され、職場内の賃金・労働条件の格差が拡大しています。ともに働く仲間の連帯で、「平等な職場社会」実現を目指す取り組みが急務となっています。



俺たちはゴミじゃない
I AM A MAN

       江戸川ユニオン副委員長 小畑 精武

小畑精武さん(写真左)と下請清掃労組委員長の稲田さん
小畑精武さん(写真左)と下請清掃労組委員長の稲田さん
2006年にデトロイト(米国)の全米自動車労組(UAW)を創設したウオルター・ルーサー記念館で。
プロフィール
1945年生まれ。東京教育大学文学部史学科卒業。1969年江戸川区労働組合協議会オルグ、後に事務局長。84年江戸川ユニオンを結成。公共サービス民間労組協議会事務局長、同アドバイザーとして、民間委託、公契約問題に取り組む。2010年8月退職。
 写真「I AM A MAN」は下請清掃労組の委員長だった稲田さんと2006年にアメリカのデトロイトに行った時撮ったもの、全米自動車労組(UAW)を創設したウォルター・ルーサー記念図書館に掲示されていた。「I AMA MAN」は1968年にテネシー州メンフィスで人種差別に対してストに入った黒人清掃労働者の訴えだった。人種の平等を求めた公民権運動指導者マーチン・ルーサー・キング牧師はこの闘いの中で暗殺された。続いて1972年に「俺たちはゴミじゃない」と風呂場もシャワーもない稲田さんたち東京都下請清掃労働者が次々と労働組合結成を始め、私は江戸川区労協オルグとして全面支援をした。「俺たちはゴミじゃない。I AM A MAN」という叫びと運動は広がって下請清掃労働者の権利と黒人の公民権を実現していった。

再び立ち上がる 労働者はモノじゃない

 あれから一昔、歴史は繰り返す。地方の保育職場では1年目の臨時保育士が担任を持たされて泣いている。東京では保育士が時給900円で求人募集されている。都や区庁舎警備、清掃の委託会社がダンピング競争で倒産し大量の賃金未払い労働者が放り出された。「安ければよい」という競争入札がまん延し労働者は物扱いされ、官製ワーキングプアが日々生み出され「人間を入札するな!」「物件費を“人権”費に改めよ」と委託労働者が次々と立ちあがっている。

非正規の拡大で人間関係も分断

 公共サービスの職場を見てみよう。働いている人たち全員が正規職員という職場はまずない。雇用関係は直接雇用の正規職員、再任用、再雇用、臨時、非常勤、間接雇用の派遣、委託・請負、さらに委託請負会社にも正社員とパートなど複雑化し、全ての労働条件を把握している人は誰もいない。仕事の指揮・連絡も人間関係もスムースにはいかない。見えないガラスの壁や床で縦横に職場が分断されているからだ。当然そのしわ寄せは事故や質の低下となり公共サービスへの不安となる。
 だがそれでも歴史は進歩する。40年前にはパートや委託労働者を守る法律は何もなかった。この間不十分ながらもパート法が1993年から施行され、入札制度にも安さのみを評価基準としない総合評価方式が1999年から導入された。2009年には公共サービス従事者の適正な労働環境を国、自治体に求める公共サービス基本法が制定された。職場でも園長が臨時保育士の組合づくりを勧め、均等待遇実現へ賃金シェアが提起されている。

公契約条例の制定の拡がり

『公契約条例入門』:小畑精武
『公契約条例入門』:小畑精武
ご一読を
旬報社
2010年11月 発行
公契約条例は官製ワーキングプアをなくし、豊かな地域社会をつくるために必要
 さらに歴史上はじめて自治体と請負企業との間で結ぶ公契約に最低賃金を設ける公契約条例が09年9月千葉県野田市で制定された。「公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保することにより、当該業務の質の確保及び公契約の価値の向上を図り、もって市民が豊かで安心して暮らすことができる地域社会を実現する」と目的を謳い、労働環境の整備と公共サービスの質が一体であることを明言した。公契約条例制定の動きは川崎市や札幌市など政令市にも広がり、都内でも江戸川区が制定し国分寺市や多摩市が続いている。

分断のりこえ連帯した闘いを

 東京都には「労働環境の整備と公共サービスの質の確保」を基本理念とする公契約条例の動きは見えてこない。同時に職場でも見えないガラスの厚い壁が労働者を縦横に分断しこの問題を歪め、働く者の健康・生活・雇用不安が今や正規も非正規も問わず生み出され、公共サービスの質に不安が生じていることを覆い隠している。低かった公務労働の条件を改善し、多数いた臨時職員の正規化を実現し、公共サービスを高めてきたこの理念をすべての労働者のものとして蘇らせなくてはならない。この壁を取り除くには雇用条件が違っても同じ職場で仕事をしている労働者の連帯しかないと思う。もちろん市民の理解と協力も必要だが。

平等な職場社会の実現を

 キング牧師の有名な演説「わたしには夢がある。肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に生きられるようになることだ」を思い出す。労働者間の分断差別をなくしお互いが仲間となり、平等な職場社会をつくっていくために私たちも夢をもとう。「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」(第一条)このことをすべての労働者に保証していく夢をもとう。公契約条例はそのためにある。

労働基準法
第1章総則 (労働条件の原則)
第一条(1) 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
(2) この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
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