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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 

こんな職場、こんな仕事(第68回)

行政文書を過去から未来へ橋渡し

                       本庁支部 公文書館

編さんした資料を手に西木さんと畑中さん
編さんした資料を手に西木さんと畑中さん
公文書館(港区海岸)
公文書館(港区海岸)

 小雨降る4月、浜松町の公文書館を訪ね、史料編さんを担当する西木さんと畑中さんにお話をうかがいました。

公文書館の歴史を振り返る

 1968年10月、都政史料館と総務局総務部文書課の機能を一部統合して、東京都公文書館が誕生しました。行政の公文書や庁内刊行物を系統的に収集・保存・公開すると同時に、都の修史事業を行っています。
 そもそも都政史料館は、明治から行われてきた史料編さん事業と、東京府・市以来の公文書保存を一元化するために1952年につくられました。
 1959年、日本学術会議が政府に対して「公文書の散逸防止について」勧告を行い、国立公文書館の設置を要望するとともに、地方公共団体に対しても必要な措置を要望するなど、文書保存の重要性が叫ばれました。
 都は、いち早く公文書館設置の準備に着手、同時期に増改築していた職員研修所(当時)との合同庁舎として、現在の港区海岸1丁目に開設し、現在に至ります。

地道な編さん事業

 西木さんが行っている仕事に東京市史稿の編さんがあります。江戸・東京の歴史編年資料集です。
 内容は、皇城・御墓地・変災・上水・救済・港湾・遊園・宗教・橋梁・市街・産業の各篇です。第1巻の刊行が1911年(明治44)ですから、来年度で1世紀ということになります。
 畑中さんが携わる都史資料集成というのは近代東京の歴史に関するテーマ別資料集で、「日清戦争と東京」「ムラからマチへ 都市化の諸相」「震災復興期の東京」など興味深いタイトルが並びます。継続作業中です。
 このほかに前年度の都政のトピックスや答申・報告・計画等を集成した「行政資料集録」等、同時代の記録資料作成にも取り組んでいます。

 


公文書は生きている

 

研修所の移転で拡充させた書庫・閲覧室

公文書は中性紙の箱で保管する
公文書は中性紙の箱で保管する
刊行開始から100年
刊行開始から100年

 1999年1月に、併設されていた職員研修所が臨海部に移転されるなか、閲覧室の装いを新たにし、空いたスペースを書庫として利用するなど一定の整備を実施しました。しかし、1968年に建てられた現庁舎の老朽化はいなめず、拡張した書庫スペースも現在では限界を迎えています。なお、現在竹芝庁舎には、公文書館の他に島嶼農林水産センターが入っているほか、総務局統計部が随時利用しています。

公文書館の機能アップをすすめる

 現在、公文書館では機能アップのための取り組みを実施しています。
 第1の柱は目録データの再編整備です。これにより、膨大な資料へのアクセスが飛躍的に向上し、庁内利用や調査研究が一段と便利になります。
 第2の柱は、現代公文書の確実な収集です。現在も長期保存文書はすべて公文書館に引継がれることになっていますが、座して待つだけでは引継率が上がらないのが現実です。そこで、都政の記録資料を確実に引き継いでいくため、「収集基準大綱」を定め、積極的な収集・督促に力を入れています。
 また、昭和20〜30年代の公文書が明治期の文書よりも少ないという現実があり、職場に眠っている貴重な「古い文書」が廃棄されてしまわないよう、現代文書調査収集プロジェクトを展開しています。
 職場にも足を運び、埋もれた“宝物”と出会えた時の喜びは格別だという畑中さんです。
 昨年7月、公文書管理法が制定され、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけました。
 庁内利用サービスの充実が、未来の都民に対する説明責任につながり、さらには歴史的価値のある記録資料群の形成に結実する。こうした流れを実現する必要が生まれているといいます。

仮移転に直面

  この3月、都は都市再生ステップアップ・プロジェクトの第一弾として、公文書館を含む竹芝地域を再開発すると発表しました。
 全国から訪れる来館者にとっては、羽田に近く利便性がよいと好評でしたが、仮移転先は廃校となった都立高校だそうです。しかし、本移転への計画の具体化はされていません。
 江戸幕府の古文書や明治期の文化財、さらに劣化の進んだ戦後間もない時期の記録といった歴史的資料を守るために、万全の対応が求められます。東京都はそのために力を発揮すべきです。

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