健康 メンタルヘルス講座(31)
メンタルヘルスケア
D場外資源の活用
これまで「セルフケア」、「ラインによるケア」そして「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」を紹介いたしました。今回は最終回「事業場外資源によるケア」です。
このなかで、皆さんにとって一番身近なものは病院でしょう。例えば程度の個人差はありますが、誰でもからだの調子が悪いときには病院を受診します。このように、『困ったときに相談できる職場外の組織』が事業場外資源と総称され、医療機関の他、公的な相談機関(産業保健推進センターなど)や民間の相談機関(いのちの電話、外部EAPなど)も含まれます。
EAPとはEmployee Assistance Program:従業員支援プログラムのことです。当初は労働者のアルコール問題に対する概念でしたが、今はこれに限らず総合的な外部の相談機関として認知され始めています。(ちなみに、東京都福利厚生事業団では外部EAP機関と連携し、会員であれば無料でカウンセリングができます。
前回の「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」では、仕事をしていく上での悩みの相談が中心になると話しましたが、労働時間は皆さんが過ごす一生のうちの半分にも及びません。自分の人生や、家族についてなど誰にも打ち明けられないプライベートな悩みを持つ方も多くいらっしゃると思います。また仕事の悩みでも、職場の中では相談したくないという場合や、職場内に相談できる機関がない場合などもあるかもしれません。このようなときに相談できるのが、この「事業場外資源」なのです。
じゃあ結局どこに相談したらいいの?と悩まれるかもしれませんが、そんな時にはまず、気軽に精神保健相談員を訪ねてみてください(連絡先は、おって都庁職HPでお知らせします)。
誰にも打ち明けられない大きな悩みを長期間持ちながら働くことは「百害あって一利なし」ですので。
これまで4つのケアを中心に職場で働くメンタルヘルスの考え方を解説いたしました。これらをうまく活用し、皆さんの健康に備えていただきたいと思います。
(産業医の立場から 宇佐見和哉)
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