健康 メンタルヘルス講座(30)
メンタルヘルスケア
C事業場内産業保健スタッフの役割
これまで厚生労働省「4つのケア」のうち「セルフケア」、「ラインによるケア」を中心にメンタルヘルス対策についてお話しました。今回は「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」についてご紹介します。4月に入り新たな環境で仕事をされる方も多いと思います。新生活は慣れない仕事や人間関係に気を遣うなど、ストレスがかかりやすいものですので、ぜひご参考いただければと思います。
このケアは、産業医、保健師、心理士など専門スタッフのほか、職場内の衛生管理者や人事労務担当者も協力し、各職員の健康に関わっていくものです。特にメンタルヘルスに関し重要な職務となるのは、やはり労働者の相談業務でしょう。仕事をしていく上では、大小さまざまな悩みを抱えることと思います。誰にも打ち明けられずに、心に重荷を持ったまま過重な業務を続けることは、体調を崩す原因につながります。また最近では自分の悩みだけでなく『部下の様子がいつもと違うが、どのように対応したらよいか』といった相談も多いです。『悩んではいるがこんな悩みを相談してもいいのか?』と思う場合にもぜひご相談ください。
また東京都知事部局では、このケアを強化するため、「精神保健相談員」が各局を担当し、相談の促進に努めておりますので、ぜひご活用ください(詳しくは各局が発行する案内等をご覧ください)。
相談者の中には、『ここで話すと職場にもれてしまうのではないか?』と心配される方もおります。確かに職場組織の一員ではありますが、スタッフには守秘義務が課せられていますので、相談者の同意なしに、職場に口外することは決してありません。安心して相談いただきたいと思います。ただし非常に心配な方は、まず外部の相談機関を用いても良いでしょう。
さて次号ではこの外部専門スタッフ(事業場外資源)の活用法と、東京都独自の相談機関について詳しく説明します。
(産業医の立場から 宇佐見和哉)
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